MIDI編集ソフトでノートや演奏情報を編集するイメージ

MIDIは音声ファイルではなく演奏情報

MIDIは「Musical Instrument Digital Interface」の略で、電子楽器やソフトの間で演奏情報をやり取りするための規格です。.midでよく使われるStandard MIDI File(SMF)には、ノート、タイミング、テンポ、音色指定などのイベントが記録されます。WAVやMP3のように録音された音そのものを保存する形式ではありません。

MIDI編集画面で複数トラックの演奏情報を確認する例

そのため、MIDIを別のソフトで再編集したい場合はSMFやソフト固有のプロジェクト形式を残します。完成した曲を一般的な音楽プレーヤーで聴く場合は、ソフト音源で鳴らした結果をWAVやMP3へ書き出します。MIDI編集と音声編集は似て見えても、扱っているデータが違います。

無料で使えるMIDI編集ソフト5選

ここでは、同じ「無料MIDIソフト」でも、イベント編集、ピアノロール、録音を含む制作、楽譜入力、ブラウザ作業では使い方が大きく変わります。ここでは役割が重ならない5候補に絞り、無料条件と現在の保守状況まで含めて比べます。

候補環境得意なこと注意点
世界樹Windows細かなMIDIイベント編集64bit版のみ
DominoWindows軽量なピアノロール入力安定版の公式環境はWindows 10まで
MixPadWindows / MacMIDIと音声の録音・ミックス無料版は非営利用途
MuseScore StudioWindows / Mac / Linux楽譜入力とMIDIの受け渡しピアノロール専用ソフトではない
Soundation / signalブラウザインストールなしのMIDI制作機能・保存方法がサービスごとに異なる

2026年8月時点の公開情報をもとに整理しています。WindowsでMIDIイベントを直接触るなら世界樹、楽譜から入力するならMuseScore Studio、録音まで含めるならMixPadというように、編集画面の種類から選ぶと候補を絞りやすくなります。

世界樹:イベントを細かく直したいWindowsユーザー向け

世界樹はフリーかつオープンソースのMIDIシーケンサーです。現行の世界樹8.3は2026年1月23日に公開され、Windows 7 / 8.1 / 10 / 11の64bit版に対応しています。ノートだけでなく各種MIDIイベントを編集でき、複数のMIDIデータを同時に開く使い方にも対応します。

世界樹4.1

すでにあるSMFのテンポやコントローラー情報まで丁寧に修正したい場合に強い選択肢です。音声録音やミックスを中心にするDAWとは役割が違うため、MIDIそのものを触りたい人ほど利点が分かりやすいでしょう。

Domino:ピアノロールを軽快に使いたい場合

Dominoはピアノロールを中心にした無料のMIDIシーケンサーです。他トラックのノートを重ねて確認できるオニオンスキンや、曲中の位置へ移動しやすいマーク機能があり、複数パートの関係を見ながら細かく打ち込む作業に向いています。大きなDAWを立ち上げず、MIDI中心で曲を組み立てたいときに使いやすい設計です。

Domino

一方、公式の最新公開版はVer.1.44(2020年9月12日)で、公式動作環境の記載はWindows 10までです。Windows 11を公式対応条件として選びたい場合は世界樹を優先し、Dominoは手元の環境で動作を確かめてから常用するほうが安全です。

MixPad:MIDIと録音した音声を一緒に仕上げたい場合

MixPadはMIDI専用エディターというより、MIDIとオーディオを同じ制作工程で扱えるマルチトラックソフトです。MIDIファイルの読み込み、MIDI機器からの録音、ピアノロールでのノート追加・削除、クオンタイズ、ベロシティやピッチの調整に対応します。

MixPadでMIDIと音声トラックを編集する画面

WindowsとMac向けに提供されています。無料版は家庭での非営利利用向けなので、仕事や商用制作を前提にする場合はライセンス条件を先に確認してください。MIDIの数小節だけを直す用途より、録音やミックスまで続けたい制作に向きます。

MuseScore Studio:五線譜から作曲し、MIDIへ渡したい場合

MuseScore Studioは、ピアノロール中心のMIDIエディターではなく、五線譜へ音符を入力して曲を組み立てる無料・オープンソースの楽譜作成ソフトです。MIDIキーボード入力に対応し、MIDIやMusicXMLを読み書きできるため、楽譜を軸に作曲してから別のDAWやMIDIエディターへ渡す流れに向いています。

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現行のMuseScore Studio 4.7.4はWindows、macOS、Linux向けに提供されています。ノートイベントを一覧で細かく修正する用途なら世界樹やDominoのほうが直接的ですが、譜面を見ながら編曲したい場合は役割がはっきりしています。

Soundation / signal:インストールせずブラウザで編集したい場合

ブラウザ型は、学校や共有PCなどソフトを追加しにくい環境で便利です。Soundationではプロジェクトを開き、仮想楽器またはMIDIキーボードを選んで録音し、Note clip editorでノートを直したあと、クリップやチャンネルをMIDIとして書き出せます。無料プランから始められるので、MIDIと音源を一つのブラウザ環境で組み立てたい場合に使いやすいでしょう。

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一方のsignalは、ブラウザで動くオープンソースのMIDIエディターです。マルチトラックのピアノロール、ベロシティ、ピッチベンド、Web MIDIによるキーボード入力、SoundFont、WAV書き出しなどを備えます。音声制作機能を増やすより、MIDIのアイデアを素早く形にしたい場合に相性がよいツールです。

MIDIを作成・編集するときの基本手順

MIDIの新規作成からピアノロール編集、保存までの流れ

画面構成はソフトごとに違いますが、作業の芯は共通しています。最初から音色やエフェクトを詰めるより、ノートが正しく並び、別環境へ渡せる状態を先に作ると手戻りが少なくなります。

  1. SMFを開く、または新規プロジェクトを作る:既存の.midを修正する場合はファイルを読み込み、打ち込みから始める場合はトラックと音源を用意します。
  2. ピアノロールでノートを編集する:音の高さ、開始位置、長さ、ベロシティを調整します。MIDIキーボードを使う場合は入力デバイスとして認識されているか確認します。
  3. テンポやコントローラー情報を整える:必要に応じてテンポ、パン、モジュレーション、ピッチベンドなどを調整します。既存曲の修正では、変更する小節を先に絞ると作業しやすくなります。
  4. 用途に合わせて保存する:再編集や他ソフトへの受け渡しはSMF、作業途中は各ソフトのプロジェクト形式、完成音を聴くならWAVやMP3を書き出します。

保存形式は「再編集するか、聴くだけか」で決める

形式主な目的覚えておきたい点
SMF(.mid)他のMIDIソフトへ渡す演奏情報を保持する
プロジェクト形式同じソフトで作業を続ける音源や設定を残しやすい
WAV / MP3完成した音を聴く・共有する通常はMIDIノートとして再編集しない

MIDIからWAVやMP3へ書き出すときは、MIDIイベントそのものが音になるのではなく、選んだソフト音源や外部音源が演奏した結果を音声として保存します。同じMIDIでも使う音源によって聴こえ方が変わるため、「MIDIだから音質が決まる」と考えないほうが正確です。

MIDI制作後に音声形式へ書き出す作業画面の例

MIDIを書き出した後のWAV・MP3を確認するならPlayerFab

MIDI編集と完成音の再生は別工程です。PlayerFab Free Video PlayerはMIDIのノートやイベントを編集するソフトではなく、公式の主要対応音声形式にもMIDIは含まれていません。MIDI制作ソフトでWAVやMP3へ書き出した後、その音声をWindowsで再生したり、ローカルライブラリにまとめたりする用途で使えます。

PlayerFab Free Video Player
PlayerFab Free Video Player
  • MP3、WAV、M4A、FLACなど一般的な音声ファイルを再生
  • ローカルの音楽と動画を同じライブラリで整理
  • プレイリストを作成して書き出し後の曲を確認
  • Windows向けのローカル再生ソフト

ここで重要なのは、PlayerFabをMIDI編集ソフトの代わりにしないことです。ノートの打ち込みやSMF保存は世界樹、Domino、MixPad、Soundationなどで行い、完成した音声を聴く段階で再生ソフトへ渡すと役割が混ざりません。

MIDI編集に関するよくある質問

MIDIとMP3は何が違いますか?

MIDIはノートやタイミングなどの演奏情報、MP3は実際の音を圧縮して保存した音声ファイルです。MIDIは音源を変えて再演奏できますが、MP3は通常、元のノート情報へ戻して編集する用途には使いません。

Windows 11でDominoを使えますか?

Dominoの公式動作環境にはWindows 10までが記載されており、Windows 11は明記されていません。Windows 11への公式対応を優先するなら世界樹が選びやすく、Dominoを使う場合は自分の環境で動作を確認してください。

ブラウザだけでMIDIを編集できますか?

できます。Soundationはブラウザ上でMIDIの録音・編集・書き出しまで扱え、signalは軽量なピアノロール中心のオンラインMIDIエディターです。MIDIキーボードを接続する場合は、ブラウザのWeb MIDI対応状況も確認してください。

MP3からMIDIへ変換すれば元の演奏データに戻せますか?

完全に元どおりにはなりません。音声からMIDIへの変換は、録音された音から音程やタイミングを推定する処理です。単音の素材では使いやすいことがありますが、複数楽器が重なった曲では推定誤差が増えます。

まとめ

MIDI編集ソフトは、同じ無料ソフトでも編集の入口が異なります。細かなイベントを扱うなら世界樹、軽いピアノロールならDomino、録音まで含めるならMixPad、五線譜から作るならMuseScore Studio、インストールを避けるならSoundationやsignalが候補です。Aria Maestosaのような旧来のツールは、独自の表示方式と保守状況を両方見て判断しましょう。

作業途中はSMFやプロジェクト形式を残し、完成した音を一般的なプレーヤーで聴くときにWAVやMP3へ書き出す。この区別を押さえておけば、MIDI作成と音声再生を無理に一つのソフトへまとめる必要はありません。